異邦人-カミュ-

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

確か中1の時、タイトルに惹かれて購入したものの結局読む気になれなくて放置してあった「異邦人」。
…私はこういうパターンが多いですね。

事件が起こるまでは、いつまでこんなペースの文が続くんだろうなんて思っていましたが、全体としてあそこも切っても切り離せない重要な部分であったのだとよく分かりました。

深いです。すごく深いです。

中学の時に読んでいたらどうだったかな…ほとんど内容を理解できないか、当時すごく過敏だったので返って衝撃が大きくて良かったかも知れません。

主人公のムルソーは通常ちょっとあり得ない程の受け身人間ですが(とりあえず私はそう思いました)・・・
あー。

感想が打てません。適当なことは打っちゃいけないと言うか

私が感想を語るにはまだ早いです。

3年後くらいにまた読み直したい一冊に入れておきます。

幸福な死-カミュ-

幸福な死 (1972年)

幸福な死 (1972年)

受験対策云々で読書するより勉強しなければならなくなってきたので、ペース的に半年で50冊、難しくなってきました^^;
でも本を読むのも現代文に多少役立つだろうし、なるべく読んでいこうと思います。
現代文の問題に引用されるような本(てか過去問に出た本とか)を読んでみるのもいいかもですね。。。

ところで、初カミュ読破です。

根拠のないカミュのイメージと、読んでみての印象がものすごく違いました。
かなり雰囲気が独特で、スローペースと言うか。
それでいて、私的には全く苛立ち(いつ佳境に入るんだろうとか、そういう)を感じないでいられたし、むしろ心地の良い領域な感覚。

単調に驚きだったのが、メルソーがザグルーを殺してお金を奪いそのお金で暮らすというのが、カミュが書くとなると「罪」の一文字をあまり感じなかったことです。
作品に引き込まれていたからでしょうが、それがある意味本当に、必然のようなことに感じられてきて、でも危ないとかいう感じではないです。
本当、立派に犯罪だし、思想はともかくやった事自体は間違いなく倫理に反するのに、そう思わせないところがすごかったです(犯罪を肯定する意味ではなく)。

ラストを読んで、死は決して怖いものでなくてもいいんだなと思いました。

死体を買う男-歌野晶午-

死体を買う男 (講談社文庫)

死体を買う男 (講談社文庫)

あれえ…?
さっきまで打ってた感想文が一気に消えました・・・・。
なんで?・・・私なにかしたっけ??…あ理由が分かりました。説明しづらいけど

・・・気を取り直してえーと。

この「死体を買う男」を買うまでに何度か文庫本コーナーをうろつき、買おうか買わないか、次にしようかとかと、早く買えよと思われるかも知れませんが私金欠だったので悩んでまして、でもどこかの文庫本コーナーに行く度目に入っていたので買うことにしたのでした。
読了後、それを思い出して「やっぱり自分にとってイイ本は何度も目につくものなんだv」となんとなく得意になっていた私です。
それくらい良かったです。
ただの双子トリックと思うことなかれ。

他の歌野さんの著物は違うらしいですが、この死体を買う男は江戸川乱歩調の文体で、乱歩好きの私にとって嬉しかったです。すごく読み易かった。
小説には、架空の登場人物として江戸川乱歩萩原朔太郎が登場します。
私は、萩原さんのものは1つも読んだことが無かったので、先入観を付けないためにも読んでおいたほうが良かったなあと思いました(ただこれを読んですごく興味を持ったので今度読みます)。
また、この小説は小説の中の「小説」と「現実」で構成されてあり、その点も複雑です。

↓以下ネタバレ部分は反転文字の為空白、読了した方だけひっくり返して下さい
最初は、乱歩が軽く(?)投身自殺を図りそれを直青年に止められるところで、そこでの乱歩の言い訳が…
これじゃ乱歩がちょっとアホみたいだし、それより前に自殺しようまで追いつめられた人間があんなに簡単に止める訳ないし、自殺願望があるのをナメてるのか(←?)くらいに思って、ダメだこれは乱歩と萩原さんをつかって乱歩調な小説に仕上げただけで
そんな大したことない(通常の2倍くらいの帯をつけるに及ばない)小説なんだ、と早々に決め付けて読んでいました。
まあこういうところが、なんでも私の悪いところなのですが・・・
(ただあそこは、最後まで読んで、あそこで直青年の言う「死にたくないのに死んでしまう人間もいるんですよ」が良く分かって満足です。)
乱歩にああいうことをさせないといけなかったのとかはそのうちよく分かってくることでした。
性格が軟弱なのは萩原さんと対比させて書かなきゃ面白味に欠けるとかでしょうか。うん(?)。

その次に「は?」と思ったのが、直青年と思われる人物が自殺してしまった時、その直青年の部屋に行ってみると直青年と顔形のそっくりな人物がいるのを見つけた時の乱歩の反応。
いやいやいやいや。「奇蹟が起きたんだね」は言わないでしょうと苦笑しましたが、あれも物語を盛り上げる為だったんでしょう、全体的には素晴らしいから問題ありませんよね(それにしてもラストを考えるとあの演技も凄かったですね)。

その後は、ただのオマケ程度と思っていた西崎と細見が登場したり、直青年と幼馴染と言う雪枝さんが登場して驚くべき話をしてくれたり、あれはちょっと驚きました。
(ラストを思って考えると、雪枝さんが直さんに告白した時の暗い顔の意味や苦悩がありありと浮かびました)

その少し後、ゴム毬の話が出てきた時に、やっぱり直さんは生きてたんだ、想像通りだったと思い。
そうしていたら死体が発見され、あれえ…??。

ほんとうに、中々決着がつかないところがこの小説の一番面白いところです。
普通のミステリの2,3倍イロイロある気がします。あれはすごい。

あと、220ページの2人の木に話しかけるところがユニークでした。

その後、「鬼」の最初で、どうして直青年が均青年を殺して相手を自分の身代わりとしたのかと乱歩が考えるところがありますが
あれは私にとって不自然で、それは雪枝さんと一緒になるためだけに必要だったと言えば、例えばそれをせず駆け落ちをするにしてもそれなりのリスクはある訳だから、そのくらいはおかしくないんじゃないかなあと思っていました。
でも、そこで不思議に思わなければならない理由がラストで明かされるので、後で納得しました…けどあそこはちょっと不自然な「謎」かも・・・。

西崎の最初に書いた「白骨鬼」のラストで
夢物語でいいのだ。
夢物語でいいのだ。

・・・で終わりますが、あれはなんとも…その後の細見辰時の「ほんとう、過去」と比べての皮肉だったのかと思います。

まさか細見さんが均さんだったとは・・・
うーん。
これを読んでからだと、他のミステリを読んだ時に驚きが少なくなるかも知れない。

パノラマ島綺譚 -江戸川乱歩ベストセレクション6-

今度のベストセレクションの表紙は…気持ち悪い。
これまでも清々しい表紙なんかじゃ勿論ありませんでしたが、結構気に入ってたのにこれは見た瞬間うぇってキました…私は。
今隣に文庫が置いてありますが、表紙を裏返しにしてあります。見たくないです。気味悪いのでももうちょっと綺麗に書いてくれないものですかね><
気味悪いんじゃなくて気持ち悪いですね。って表紙の話はここぐらいにしておいて…

パノラマ島綺譚と石榴収録。
私は何故か、パノラマ島綺譚にも石榴にも、あんまり魅力が感じられませんでした。
読書ペースが普段早くもない私がこのベストセレクション1冊を1,2日で読了できてしまうのは変わらなかったのですが
以前は江戸川乱歩自体がこのベストセレクションで初めて読んだのもあって、物珍しさや新鮮な面白さや驚きがあったけど
今はもう6冊目まできたくらいだから、それに慣れてしまってあんまり何にも感じなくなった・・・・。

悲しい・・・←

ただ、改めて昔の人の、乱歩作品に登場する人物の喋りはすごく読みやすいと思いました。

それだけ?それだけ。

ベストセレクション7はまた私にとってどうかな・・・・。

吾輩は猫である-夏目漱石-

吾輩は猫である (角川文庫)

吾輩は猫である (角川文庫)

やっと読み終えた。
約二週間、ほぼ毎日読んでやっとだったのは、500ちょいというページ数とあまりに変わらないテンポのせい。佳境というのはないのかな〜と思いながら読んでいました。
・・・が。
496ページにきて、最後までちょっと辛抱しながら読んできて良かった〜と思いました!
それまでも、吾輩の人間観や皮肉が面白くて所々少し笑いながら読んでいたし、夏目さんの観察眼の鋭さはなかなか有り得ないと実感しながら読んでいたのですが
その496ページからは、もう感動しました。
こういうシメだったのかあと思って、テンポの変わらないのに飽きて途中で止めていたらこのラストの良さも分からなかっただろうなあと。
すごいです。
語彙数が少ないのでやっぱりすごいとかしか言えないのですが、すごいから将来必読必須です。
5年くらいしたら自分がこの作品をどう感じるかが知りたいです。

疑いようもなく名作、この前よんだこころとはまたかなり違いますが、すごさはあんまり変わらない。

羅生門・鼻-芥川龍之介-

羅生門・鼻 (新潮文庫)

羅生門・鼻 (新潮文庫)

これも読んだのは画像のものではないのですが、見つからなくて同じ新潮社なので載せておきます。

コトバが私には難しすぎて分からないもの盛り沢山、完末に訳注をつけるならどこから出してきたお話かだけじゃなくて今では珍しい単語の意味も付けて欲しかったです・・・。

以下、それぞれの感想↓

羅生門…流石です。人の心の移り変わりと、何と言ったらいいか語彙が少なくて分からないのですが、別のものとが絶妙です。
これだけ少ないページ数でほーっとさせられるのは、やっぱり私が読んだ中では芥川作品だけです。

鼻…こちらも人間の不思議な心理。
  ただ、こんなに分かってしまっては人間として切ないなーと、思いました。

芋粥…やっぱり叶えない方がずっと幸せな夢ってあるんでしょうね。
   それを支えにして生きる、というのも虚空を目指して生きるようで切ない気もしますが、私にとっての「芋粥」って何だろう、と・・・。
まあ少女にとっての白馬の王子様のようなものですかねえ。実際そのくらいのロマンティストがどのくらいいるかって話でもありますが・・・

ただ、個人的にはロマンティストに生きれれば本望です。

運…こんな運もあるとは、そっかそうだよなあやっぱり芥川さんはすごいなあなどと。ちなみに、私なら老人と同じくこんな運は真っ平です。

袈裟と盛遠…私にはまだ分かりませんね。

邪宗門…芥川作品にしては長いなあ、どんな終末が待っているんだろうと思いながら読み、もうそろそろ一番の盛り上がりだなと思ったところで最後に出てきたのが
(未完)
の文字…。
えぇええと。
ちょっとやっと若殿がいいところに登場したところで切らないで下さいよ、未完なら未完でいいので載せないで下さいよ。
はあ。未完の作品載せていいんですか?
著者本人もこんなん載せて欲しいと思っているんでしょうか。

好色…「侍従!お前は平中を殺したぞ!」に笑。
   最後の「・・・事実である」は流石です。
でも何気に誰でも、平中のように極端でなくても恋ではなりがちなものですよね。

俊寛…これは分からない単語が出過ぎて私には俊寛の話す内容が今一理解できませんでした。
ただ政治の話など、なんとなく分かります…なんとなく。

蜘蛛の糸・杜子春-芥川龍之介-

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)

蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)

読んだ本はコレ↑じゃないのですが、見つからなくてタイトルが一緒だから載せました。

大正7〜12年に書かれた芥川龍之介作品10。

確か中1の時に半無理やり父から買って貰った一冊。
一度は読んでおいた方がいいと言われて勧められたのが、かなり単調な中国人らしいおじさん(←)一人のカバー絵のものだったので
一瞬見てすごく嫌になった覚えがあります。
教科書に出てくるようなつまんないやつかなと。
その時は蜘蛛の糸だけ読みましたが、表紙の割にはいいなあくらいしか。・・・。

でもやっぱり、私はこういう蜘蛛の糸とかより、この前読んだ「河童」などの作品の方がずっと好きです。言ってしまえばかなり病んでいる時の方がずっと好き…という。 。。。。。

ただこの「蜘蛛の糸杜子春」も、カバーの紹介文に印刷してある「少年少女のために書かれた、健康で明るく、人間性豊かな作品集。」は健康で明るいとは全然私は思いませんでした。

健康で明るい芥川龍之介なんて存在し得たんですか?・・・


以下、簡単にそれぞれの感想です。


蜘蛛の糸…ラスト最高。

犬と笛…本当、「河童」から芥川作品を読むと、どれだけ変化していったか分かる気がしました(時期の前後が逆なのですけど)

蜜柑…(「私」の気持ちが)よく分かる気がしました。

魔術…流石。

杜子春…有名なのが良く分かった。傑作

アグニの神…なんとも…。うんいいと思います

ロッコ…「塵労に疲れた彼の前には今でもやはりその時のように、薄暗い藪や坂のある路が、細細と一すじ断続している。・・・」
      驚いた
      天才だ!!!と思った。

仙人…信じる人は救われる?
   夢はいつか叶う?

猿蟹合戦…「さるかにがっせん」を初めて読んだとき、小さい頃の芥川さんは違和感を感じたのでしょうか?それともあとから?
     君たちも大抵蟹なんですよ。・・・・単調な褒め方で申し訳ないですけど、立て続けに天才だ!と思った。